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  年末には父がロシア・エカテリンブルクから帰ってくる。隼斗はうちの両親にきちんとご挨拶すると鼻息が荒く、その際には母から料理を教えて貰いたいと言っていた。 が、うちの母は薬膳料理なんて作った事ないぞ。会社勤めしていた頃にお気に入りだった店の参鶏湯(サムゲタン)をテイクアウトして来る事は時々あったけど、作るのはごくごく普通の家庭料理だ。発熱すればお粥も用意してくれたけど、毎日朝粥と、バラエティに富んだおかずなんて考えた事もないんじゃないかな。 は───── ハンバーグ、グラタン、カレー、肉じゃが、炊き込みご飯。コドモ舌の俺のリクエストにガンガン応えてくれたなぁ……… 毎日連絡は欠かさないし、恋人(男)の家に転がり込んだ息子を祝福してくれる優しい母を俺は大好きだが、たまには母の手料理が食べたいなんて口が裂けても言わないぞー。 だって果報者だから!
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