147人が本棚に入れています
本棚に追加
「アンタら、どっから出てきた!」
「なんですか、この小うるさい女生徒は。――人を指さすのはおよしなさい」
叫びながら指さしたドロシーを、一番手前にいた男子生徒が横目で見やる。
「俺の花嫁だ。言っただろう、そろそろ花嫁をロッジに迎えるってね」
「ああ、そういえばそんなことを言ってましたね。あれ、本気だったんですか。てっきり、いつもの戯言かと」
呑気な声で言ったのは、藁色の髪をした男子生徒だ。
男子生徒は緊迫した状況と思えないのんきな仕草で、ぽん、と手を叩く。
しれっと小馬鹿にされた気がするが、ウィリアムは気にすることなく彼らに言った。
「花嫁を我が城にご案内しろ」
「仰せのままに、我が主」
三人は胸に手を当てて返事をすると、ドロシーを取り囲んだ。
「おい、何しやがる!」
「……ごめんなさい。命令だから」
背後から声が聞こえたかと思った瞬間、首元に鋭い痛みが走る。
「いたっ……!」
短く声を漏らした瞬間、視界が白んでいった。
(くそ、なんだ、これ……)
意識を失くす瞬間、見えたのは気に食わない男の薄ら笑う表情だった。
最初のコメントを投稿しよう!