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「俺は一刻も早く、ドロシーがこのドレスを着たところが見たいんだ。ドレスができるまでの間、どれだけこの日を待ちわびていたことか。――おい、お前たち。ドロシーの仕度を頼んだよ」
ウィリアムが指をならすと、広間に控えていた侍女たちがドレスを受け取った。
「さあ、行きましょうか」
侍女の一人がドロシーの背中に手をそえた。
柔らかく豊かな栗色の髪をした侍女が微笑んだ。
肌が白く整った顔立ちをしている彼女の方が、ドレスが似合う。
ドロシーはそう思った。
美しい侍女たちに着替えを手伝ってもらうことが少し恥ずかしい。
それ以上にドレスを着てみたい――そう思っている自分がいた。
「よろしく、お願いします……」
小さな声で、ドロシーは呟いた。
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