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(白黒のオズには頭は下げるけど、その花嫁には従わないってことか)
彼女たちから感じる遠回しな拒絶に気づいたが、とくに落ち込むこともない。
侍女が立ち去ると、すぐにウィリアムが広間へ戻って来た。
「ようやく支度ができたか、待ちくたびれたぞ」
「あんな、ごてごてしたものを着てたんだ。脱ぐのにだって一苦労だったんだよ。それに、髪も元に戻してたからさ」
先ほどまで様子のおかしかったウィリアムは、既に元の調子に戻っている。
まじまじとドロシーの姿を見ていたかと思うと、納得するようにうなずいた。
「……うむ、これでこそ、ドロシーだな」
「なんだよ、それ」
「いや、気にするな。では、早速練習を開始するぞ」
訝しげなドロシーの視線を誤魔化すように、ウィリアムはドロシーの手を取った。
「まずは、基本的な動きからするぞ。ほら、手を貸すんだ」
ウィリアムに手を引かれ、ドロシーは広間の中央に立つ。
彼は絡めるように、ドロシーの右手を握りこんだ。
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