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無意識に足が向かったのは、制服などの衣服を収めたクローゼットだ。 そこには、ウィリアムにもらったドレスを収めている。 ことあるごとに、それを眺めることが密かにドロシーの楽しみだった。 クローゼットを開けると、色とりどりのドレスが現れた。 日に日に増えていくそれは、ウィリアムが勝手に持ってきたものだ。 一度も袖を通すことのないそれらを避けながら、特別なドレスを探す。 だが、純白のドレスは見当たらなかった。 「あれ……?」 嫌な予感が胸を駆け巡り、体中が冷たくなっていく。 探し方が悪かったのだろうか。 もう一度、クローゼットの中を探した。 一枚ずつ、確かめていく度に焦りが徐々に募っていく。 「――ない! ない、ないないないない! ない!」 ドロシーの悲鳴を聞きつけ、部屋にラノフが駆けつけた。 「どーかしたんですかー、お嬢」 「お嬢言うな!」 「あら、思ったより元気そうですね。昨日は亡霊みたいに暗い顔していたんで、心配しましたよ」 ふふふ、と含みのある笑いを向けられ、ドロシーの顔が熱くなる。 頬を赤らめたドロシーに、ラノフは面食らったように目を丸くした。
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