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「え、マジでなんかあったんですか、アンタら。ウィリアム様もなんか変だし、セイリュウ様も変だし……。うわー、三角関係だー、ひゅー、ひゅー」
子供のようにわざとらしく囃し立てられ、ふつふつと怒りがこみ上げる。
「てめぇ、いい加減にしろよ?」
拳を握りしめ、殴りかかりそうになった時、ラノフの背後からぬっとアンバーが現れた。
「ドロシー、元気になった?」
「別に、私はずっと元気だっての」
不安そうなアンバーの表情に、ドロシーは毒気を抜かれる。
振り上げかけた拳を押さえ、ぶっきらぼうに答える。
「はい、はい。そういう事にしておきますよ。――それで、何がないんですか?」
ラノフに言われ、ドロシーは思い出す。
「……それが、ドレスが、その、ないんだよ」
「ドレスって、もしかして舞踏会で着るやつですか?」
「そーなんだよ。あんなもの失くすなんて、ウィリアムに知れたらこっぴどく説教されるに決まってる。だからさ、ウィリアムに知られないように、こっそり一緒に探してくれないか?」
「それは構いませんけど、一体、どうやったらあんな大きなものをなくすんですか」
「それは、私が聞きたいっての!」
ラノフの嫌味に耳を傾けている暇はない。
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