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「ほんとーに、何も知らないのか?」
「さ、さようでございますわ~」
つっと、侍女は視線をそらした。
おほほほ、と口元に手を添えて笑う侍女は恐らく年下だ。
ドロシーの着替えを手伝った侍女たちは、ウィリアムと同学年だったはずだ。
「先輩を庇う気持ちは分からないでもないよ。裏切って苛められでもしたら、怖いモンな。――けどなぁ、アンタはもっと怖いものを知らないようだな」
「な、なんですの?」
ドロシーは壁際に侍女を追い詰めると、後輩侍女の顔の横に手をついた。
ドロシーと壁に挟まれた後輩侍女は、恐怖に顔を引きつらせる。
「アンタ、鮮血の悪魔を敵に回す勇気があるのか?」
満面の笑みで言ったドロシーに、とうとう侍女は口を割った。
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