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「なんで、こんなこと……。アンタ、あの時はあんなにこのドレスを褒めてたじゃないか。それなのに、どうして」
ドロシーは地面に座り込むと、焼け焦げたドレスを抱きしめて侍女を睨みつける。
「あ、貴女が悪いのよ。白のロッジの生徒のくせに――セイリュウ様に構ってもらって、あげくにあんなことするなんて」
怒りに満ちたドロシーの瞳から、侍女は視線をそらす。
「あんなことって……」
考えてみるが、思い当たることがない。
眉をひそめたドロシーを見て、侍女は忌々しげに話した。
「貴女がエメラルドロッジで暮らすようになって、エメラルドロッジに寄りつかなかったセイリュウ様が、頻繁にあのロッジへお帰りになられるようになったのよ。今までは、黒のロッジでわたくしたちと同じように暮らしていたというのに」
「セイリュウが黒のロッジに顔を出さなくなって、寂しかったのか?」
ドロシーが尋ねると、侍女は赤面して眉を吊り上げた。
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