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「さあ、さあ、あの方がお待ちですよ」 ロッジに見惚れていると、藁頭の男が言った。 男達はドロシーをロッジに担ぎ込むと、広間の長椅子に放り投げる。 「何しやがる!」 乱暴な仕打ちに、長椅子の上でもがきながらも藁男を睨みつけた。 「女性にこんなことをするのは気が引けるけどさぁ、こっちも満身創痍なんだから痛み分けってことで許してよね」 ここに来る間に、心なしか藁男はげっそりとやつれている気がする。 「――おやおや、やっと到着したのか。せっかくお嫁さんを迎えるにあたって美味しいお茶を入れて待っていたというのに、すっかり冷めてしまったよ」 ドアの方から聞こえた声に、ドロシーは振り返った。 そこにいた白のオズ――ウィリアムを見たとたん、自然と顔が歪む。 「ようこそ、我が城へ。ご機嫌いかがかな、お姫様」 部屋に入ってくると、涼しげな顔でウィリアムは大げさに両手を広げてみせた。 「てめぇ、私にこんな仕打ちをしてタダで済むと思うなよ」 「テメェ、だと? なんて言葉を使うんだ! 女子なら女子らしく、美しい所作、言葉使いをしないか。まったく、恥ずかしいと思わないのか」 「思わないね。私は自分を恥ずかしいなんて思った事なんて、一度もない!」 んべっ、とドロシーは舌を出した。 それを見たウィリアムは、口をあんぐりと開け、わなわなと震えはじめる。
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