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「ウィリアム様、話が進まない。それに、僕たちはウィリアム様の友達じゃない」
無駄に格好をつけるウィリアムに、蒲公英色の髪の男子生徒が言った。
この声は聴き覚えがある。
確か、気絶する直前に聞いた声だ。
ドロシーは首が痛くなるほど身長の高い男子生徒を見上げた。
睨みつけてやるが、長い前髪が顔の半分を覆い隠していて目がどこか分からない。
「なにっ! アンバーは俺のことを友達と思っていないのかい……?」
「友達じゃなくて、従者。僕たちは白黒のオズと花嫁のお世話係。それから、早く話を進めて、ドロシーが可哀そう」
どうやら、アンバーと言う名前らしい。
ネクタイの色はドロシーと同じ黄色だ。
アンバーが答えると、ウィリアムは口元を押さえて顔色を蒼白にした。
「ううっ、なぜだか今日は嫌にアンバーが冷たい気がするが、アンバーの言う通りかもしれないな。お友達じゃない発言の追及は後からすることにしよう」
本当に忙しい男だ。
落ち込んでいたかと思うとすぐに気を取り直し、ウィリアムは咳ばらいをした。
急に真剣な表情になったウィリアムに、ドロシーは眉根を寄せる。
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