147人が本棚に入れています
本棚に追加
/267ページ
「ウィリアムも、そろそろ来るのかな」
到着の遅れている白のオズに、周囲の女学生たちはそわそわと落ち着かない。
ホワイトタイで現れたドロシーを見て、白のオズは花嫁と踊らないとでも思ったのだろう。
その後釜に、なんとかなれないか。彼女たちは虎視眈々とそのすきを狙っているのだ。
そんな彼女たちを見ていると、なんだか胸がむかむかしてきた。
自分からダンスを辞退したようなものだというのに、勝手すぎて笑えてくる。
(ウィリアムはあの中の誰かと踊るのか)
白のオズが壁の花になるわけにはいかない。
体裁的にも誰かと踊ることになるのだろう。
そんなの、やっぱり――
「嫌だ……」
ドロシーが一人呟いた時だった。
大広間の入り口の辺りがざわめき始めた。
視線を向けると、学生たちが入口に整列している。
どうやら、ウィリアムたちが到着したようだ。
入口の向こうから、数人の話し声が聞こえる。
その声はまさしく、ウィリアムの声だ。
声が近づいてくる度に、学生たちのざわめきが一層大きくなった。
不審に思い入口の方へ視線をやると、すぐにウィリアムが大広間に姿を現した。
その瞬間、大広間の空気が凍りついた。
最初のコメントを投稿しよう!