第四章・さあ、パーティーを始めようか

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「ウィリアムも、そろそろ来るのかな」 到着の遅れている白のオズに、周囲の女学生たちはそわそわと落ち着かない。 ホワイトタイで現れたドロシーを見て、白のオズは花嫁と踊らないとでも思ったのだろう。 その後釜に、なんとかなれないか。彼女たちは虎視眈々とそのすきを狙っているのだ。 そんな彼女たちを見ていると、なんだか胸がむかむかしてきた。 自分からダンスを辞退したようなものだというのに、勝手すぎて笑えてくる。 (ウィリアムはあの中の誰かと踊るのか) 白のオズが壁の花になるわけにはいかない。 体裁的にも誰かと踊ることになるのだろう。 そんなの、やっぱり―― 「嫌だ……」 ドロシーが一人呟いた時だった。 大広間の入り口の辺りがざわめき始めた。 視線を向けると、学生たちが入口に整列している。 どうやら、ウィリアムたちが到着したようだ。 入口の向こうから、数人の話し声が聞こえる。 その声はまさしく、ウィリアムの声だ。 声が近づいてくる度に、学生たちのざわめきが一層大きくなった。 不審に思い入口の方へ視線をやると、すぐにウィリアムが大広間に姿を現した。 その瞬間、大広間の空気が凍りついた。
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