第四章・さあ、パーティーを始めようか

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「……う、ウィリアム様?」 白のオズを見つめ、学生たちは唖然とする。 そんな彼らをよそに、堂々とした足取りでウィリアムは大広間へ入ってきた。 「やあ、やあ、ご機嫌いかがかな、諸君」 手をあげてひらひらと振り、ウィリアムは学生たちの間を歩いていく。 足を踏み出す度に純白の絹のレースが揺れた。 その下からのぞくのは、揃いの色のハイヒールだ。 腰はコルセットで絞められ、胸元には煌めく宝石が散りばめられている。 ウィリアムが着ていたのは、紛れもない女物のドレスだった。 「ウィリアム、お前は何て恰好してるんだ!」 ドロシーが声を裏返して叫ぶと、ウィリアムは振り向いた。 その拍子に、地毛と同じ金色のカツラが艶やかに光った。 くるくると巻き上げられた髪は、見るからに重そうだ。 「待たせたな、ドロシー。一人で寂しかっただろう?」 「答えになってねぇ! そして、寂しくねぇ!」 うっすら化粧をしているウィリアムを、ドロシーは指さした。 声を荒げるドロシーをよそに、ウィリアムは孔雀の羽で来た扇子を口元に当てて笑った。
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