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「その言葉、今は私の台詞だろ?」
ドロシーは鼻を啜りながら笑った。
本当に不器用で馬鹿だと思う。
けれど、そんな馬鹿な男がドロシーは嫌いではなかった。
(馬鹿なのはお互い様だな。こうなったら、とことん馬鹿になってやるか)
ドロシーは跪き、ウィリアムの手を取った。
「踊ってくれよ、私のお馬鹿な王子さま」
「馬鹿とはなんだ、馬鹿とは……。まったく、最後まで素直ではないな、君は」
ウィリアムは呆れたように肩を竦めた。
二人は手を取り合い、大広間の中央に向かう。
ウィリアムとドロシーが踊りの輪に加わると、止まっていた音楽が再び流れ始めた。
その流れにあわせ、何組もの男女が踊りはじめる。
鮮やかで美しいドレスの花の中心で踊るのは、男女逆転した白のオズと花嫁だった。
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