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完全なる階級社会であるエメラルティ国に君臨するオズ大王。 階位三十三以上の者達だけが謁見することを許された、この国の絶対的な存在。 三十三階位になるには、在学中にエメラルドロッジに住むだけの位を取らなければならない。 ふざけた態度をした目の前の男はもちろんのこと、三人の従者も、オズ大王との謁見を許された人物だ。 魔法学園を卒業後、エメラルドロッジに暮らす学生は三十三位以上の階位を与えられる。 その後、オズ大王の住まうエメラルドの都へ行き、大王の膝元で働く。 そして、数年に一度、オズ大王に功績を認められたものはある褒美を与えられるのだ。 「なんでも願いを叶えてくれる、偉大なるオズ大王。その人に会うために、ここに来たんだろう?」 ウィリアムは腰を屈めると、ドロシーの顎に手をそえる。 不躾な手を噛んでしまおうかと思った。 だが、ドロシーはウィリアムの瞳を見た瞬間に動けなくなった。 「知っているか? エメラルドの都に行くには、条件があるんだ」 俯いたからだけではない。 暗く淀んだ闇色の炎が、エメラルドの瞳の奥に見えた。 「条件? なんだよ、それ」
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