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「一つは学園を卒業後に三十三位以上の階位を与えられること。彼らは戦士と呼ばれ、オズ大王をお守りするためにエメラルドの都に仕える。そして、もう一つが白黒のオズは伴侶を連れていること。白黒のオズはエメラルドの都でも最高の地位を約束されている。その優秀な血を残すため、在学中に優秀な伴侶を見つけなければならない」
そんなこと初めて聞いた。
入学してから、誰も教えてくれなかった。
もしかしたら、暗黙の了解というものかもしれない。
教師たちも、当たり前すぎて中途入学のドロシーに説明し忘れたのだろうか。
今まで、エメラルドの都に行くために必死で銀貨を集めてきた。
しかし、どうやらそれだけでは駄目だったようだ。
しかも、この条件はドロシーにとってかなり難易度が高い。
「俺はその伴侶に君を選んだ」
「なんで、そんな重要な花嫁役に私みたいな女を? 自慢じゃないが、私は女の風上にも置けない女だぞ」
「確かに疑問に思うだろうね。君みたいな無作法で口より先に手が出る女子を、どうして白のオズであるこの俺が選んだのか――」
「アンタは一々、人に喧嘩を売らないと話せない病気なのか?」
やはり、顎に触れる手に噛みついてやろうか。
そう思っていると、ウィリアムが立ち上がった。
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