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「それはできない。白のオズである君も、オズ大王との謁見が許可されている。だが、まずは花嫁と会うのが先決だ。花嫁の力がオズ大王には必要なんだよ」
「しかし……!」
ウィリアムが食い下がると、その首元に鈍く光るものが当てられる。
「私に口答えするのか、白のオズ。――ならば、少しだけ待つがいい。私に逆らうのなら、まずはオズになってからだ」
短刀を首に当てられたウィリアムの額から、汗が流れる。
「ウィリアムに何するんだ!」
「動かない方がいい。君の大切な人たちを傷つけたくないのならばね」
ドロシーが拳を振り上げようとした。
それに気づいたトト・ワイスの部下たちが動く。
ドロシーたちを囲むように立ち、人差し指を向けた。
魔法を使ったのだろう。
体が縛り付けられたように動かなくなる。
「オズ大王を救えるのは君しかいない。完璧なこの世界を救えるのは君だけなんだよ」
奥歯を噛みしめるドロシーにトト・ワイスは近づいた。
首筋に触れた冷たい指先に、ドロシーは身震いする。
覗き込んだ双眸はブリキのように冷たい。
「――そして、彼らを救えるのも君だけだ」
ふっと、体が自由になりドロシーは振り返った。
そこには、拘束され刃を首元に当てられたウィリアムとラノフ達がいた。
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