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長い、長い階段をどのくらい歩いただろうか。
すでにどこを歩いているのか分からなくなった時、ようやく階段の終わりが見えた。
階段を登った先に現れたガラス製の扉を開く。
目に飛び込んできた色鮮やかな世界に、視界がちかちかと点滅して意識が飛びそうになった。
扉を開けた先には、一面にポピーの花畑が広がっていた。
「――いらっしゃい、待っていたよ」
緑と鮮やかな橙色の花たちの中心に立っていたのは、トト・ワイスだった。
背後には数人の男達を従えている。
身なりの整った中年から初老の男達だ。
空洞で虚ろな男達の表情に寒気がする。
「ここは、いったいどこだ? オズ大王はどこにいるんだ」
ドロシーはトト・ワイスに近づいた。
ポピー畑に足を踏み入れると、柔らかな土の感触に足が沈む。
「この先でお待ちだよ」
トト・ワイスは踵を返すと、花畑の奥に進んでいった。
その先にあるのは、アーチ状の梁を重ねて作られた聖堂だ。
橙色に浮かび上がるエメラルド色の聖堂の上部には、大きな鐘がついている。
「さあ、こちらへ来なさい。オズの花嫁よ。君が来るのを我々は待ちわびていたのだよ」
「そりゃどうも」
男達に取り囲まれ、ドロシーはトト・ワイスに続いて歩き出す。
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