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「これからは我々三人がドロシー様のお世話をいたします。以後お見知りおきを」
完璧な所作でグレイルは礼をした。
「ドロシー様って……。アンタたらオズの従者だよな? この学園ではめちゃくちゃ高い階位じゃないか。なのに、私なんかに様なんてつけなくていいっての」
「そうはいきません。貴女は一応、オズの花嫁なのですから。見た目からは想像できないのですから、形だけでもそれっぽくした方がいいでしょう。従者三人が傅いていれば、学園の者達も、貴女の事を少しは一目置くようになると思いますよ」
「あ、そ――」
ドロシーは頬を引きつらせる。
涼しげなグレイルの表情からは微塵も悪意は感じられない。
機械的な話し方は逆に清々しいくらいだ。
「……グレイル。そんな言い方はよくない」
おずおずとグレイルの背後から声をかけたのは、長躯で蜂蜜色の髪の男子生徒だった。
大きな体格とは反対に、頼りなさげにぎこちない動きをしている。
「ム……。なぜだ?」
グレイルは目を瞬かせ、首を傾げた。
とたんに、藁男が大きな声で笑い声をあげる。
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