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暗い地下室に眩い光りが飛び込んできた。
痛みを感じるほどの光に目を細めると、光の中に人影が見えた。
その顔ははっきりと見えない。
「迎えに来たよ、ドロシー。さあ、この靴を履くんだ」
差し出されたのは、目が眩むほど輝いた銀の靴だった。
ドロシーは足の冷たさに耐え兼ね、奪うようにそれを受け取る。
履いた途端に、足先から氷が解けていくように血が通って行くようだった。
不思議な温かさを噛みしめていると、光の中から声がした。
「君の願いをかなえてあげるから、私を見つけ出してごらん――」
声と共に光が消えて行く。
「待ってくれ!」
銀の靴を履いたドロシーは立ち上がり、光へ手を伸ばした。
暖かな日差しのような光はすぐに消え去り、地下室には誰もいなくなっていた。
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