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「おい、アンタら面白い話してるじゃんか。私にも聞かせてよ」 「いや、別に、俺たちは――」 男子生徒は視線をそらした。 急に怖気ついた彼らを鼻で笑うと、ドロシーは立ち上がる。 男子生徒は射抜くように見下ろすドロシーに怯え、喉を鳴らした。 「なんだよ、言いたいことがあるなら、はっきり言ったらどうだ」 「俺はただ、ウィリアム様が急にオズの花嫁をお決めになったって、聞いたから、その」 僅かに震える男子生徒に近づき、ドロシーは卓上に手をついた。 眼前に迫ったドロシーの顔に、男子生徒は声にならない悲鳴をあげる。 「文句があるなら、表に――」 そこで、思い出したのはウィリアムの「銀貨狩り、喧嘩禁止令」だった。 ドロシーはぐっと言葉を飲み込む。 「……くそっ!」 苛立ちと共に舌打ちをすると、踵を返す。 「おい、何処に行く気だ! 授業が始まるぞ」 「気分が悪い。今日は帰る」 教室を出ようとすると丁度やって来た教師に呼び止められたが、ドロシーはその声に振り向くことなく足早にその横をすり抜けた。
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