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校舎を出るまでに数人の教師たちとすれ違った。 しかし、ウィリアムを注意する者はいない。 白のオズは学園を卒業すれば、三十三階位以上の者に与えられる称号、マスター・オブ・オズに必然的になる。 そうなれば、エメラルドの都の住人となり、教師たちよりも上級の階位となるのだ。 多くの教師たちが、将来自分たちを支配する階級となる白黒のオズに干渉しない。 教室を出る際に呼び止めた教師は、珍しくウィリアムを注意する一人だった。 完全なる階級社会であるエメラルティの構造に、ウィリアムは常々違和感を覚えていた。 (きっと、あの人も同じ気持ちだったはずだ) 脳裏に浮かんだのは、こちらの世界での父親だった。 無口でいつも渋い顔をしていたが、実の父親には貰えなかったすべてのものをくれた人だ。 思い出した途端に懐かしさがこみあげてきた。 同時にこの国への憎悪と希望が胸に渦巻き、ウィリアムは吐き気を覚える。 しかし、裏庭の片隅に見えた赤毛にこみ上げた吐き気を飲み込んで微笑を浮かべた。
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