第一章・白のオズは花嫁を迎える

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朝露に濡れる木々や花々が色鮮やかな光を放っている。 左右対称に彩られた庭園を抜けると、そこには広大な学園が広がっていた。 王立魔法学園――魔法使いの卵たちの集まる学園は、早朝から今日も賑やかだった。 「いけっ! 今日こそは悪魔から銀貨を奪い返せ!」 「ジャック! 私の銀貨を取り戻して!」 光を反射する不思議なエメラルド色の校舎から、何人もの生徒の囃し立てる声がする。 生徒たちは中庭を駆け抜ける男子生徒に声援を送る。 幾何学模様の迷路のような庭を、男子生徒は一心不乱に駆け抜けていた。 声援とは反対に、男子生徒の顔に滲むのは大量の汗と焦りの色だ。 彼の背後を追うのは炎の化身のような少女だった。 「――私から逃げられると思うなよ!」 燃え盛る炎の如き髪を振り乱した少女――ドロシーは地面を蹴った。 足元が銀色の光を放ち、旋風が沸き起こる。 飛び上がったドロシーに向かって、男子生徒は人差し指を突きつけた。 指先から飛び出したのは、ドロシーの髪に負けない真っ赤な炎だ。
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