2章・黒のオズ

2/18
147人が本棚に入れています
本棚に追加
/267ページ
ドロシーがエメラルドロッジで暮らし始めて、早数日。 すっかり、ロッジでの生活にも溶け込み始めたドロシーには、毎朝の悩みがあった。 「――ドロシー! 今日こそは、お行儀よく朝食を食べてもらうぞ」 この日も、いつものように騒がしい声が無遠慮に部屋へ飛び込んできた。 朝から爛々と目を輝かせたウィリアムは、寝起きとは思えないほど爽やかな表情だ。 これが、ドロシーの悩みの種だ。 ウィリアムによるファーストレディになるための、スパルタ教育は早朝から始まる。 朝食の作法から、言葉遣いに始まり、寝る前のお肌の手入れまで。 こと、髪や肌の手入れに関しては、持ち前の女子力を発揮して指導に熱が入っている。
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!