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「いちいち大げさだし、ウザい」
「ウっ、うざっ……とは、なんだ? 知っているか、ラノフ」
きょとん、と首を傾げてウィリアムはとぼけた顔をする。
ウィリアムに視線を向けられたラノフが、さっと目線をそむける。
「…………さあ、俺も知りませんね。と、いうか知らない方がいいと思います」
「なんだかよく分からんが……。それよりも、朝食をとらないとは何事だ! 朝はしっかりと食べないと、授業に集中できないぞ。昼食前にお腹が空いても知らないからな。――最悪だぞー。確か、君のクラスは三限目に魔法体術の授業があっただろう。魔法学一、体力勝負な授業中に、お腹が空いて倒れるなんてカッコ悪いぞー」
ニヤニヤと鬱陶しく笑うウィリアムに、ドロシーはげんなりする。
「ご心配なく。今朝、アンバーにパイを作ってもらったからな。教室で食べる」
「なんだと? アンバーの奴、俺に内緒でドロシーを餌付けするとはなかなか抜け目のない奴め」
「誰が餌付けされてるって? アンバーには昨日、私が頼んだんだよ」
「ううっ、どうしてなんだ。そんなにしてまで、俺と一緒に朝食をとりたくないのか?」
めそめそと床にうずくまって泣き出したウィリアムは、ちらっ、とドロシーを見る。
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