2章・黒のオズ

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面倒くさくて、鬱陶しくて、口うるさい。 普段なら、絶対に関わり合いにならない種類の人間だ。 そんなウィリアムを、徐々にだが受け入れ始めている自分がいる。 あの時も、なぜだか自分の過去を話してしまった。 大事なマザーとの思い出を、この学園に来て初めて口にした。 (あいつが、しつこいからいけないんだ) それに、ウィリアムとは一応、協定を結んでいる。 お互いの手の内をいつかは明かさなければならないとは思っていた。 それが、少しだけ早くなっただけだ。 そう言い聞かせながら、ドロシーは教室に入った。 早朝の教室には、まだ誰も来ていない。 今頃は、各ロッジで生徒たちが朝食を取っている頃だ。 その間に、ドロシーは掃除を開始した。 長机を水拭きし、箒で床を掃く。 その後は窓拭きだ。 慣れた手つきで掃除をこなしていき、予定よりも早く掃除が終わりそうだった。 学園に来る前は、マザーの親族たちにこき使われていたのだ。 その前は、マザーにみっちり家事を体に叩き込まれてきた。 と、言っても実際にマザーにやり方を教えてもらったわけではないのだが。 「おっし、後はごみを捨てるだけか」
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