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朝から体を動かすのはやはり清々しい。
懐かしい感覚に、自然と笑みをこぼしていた。
ドロシーは鼻歌混じりにゴミ箱を持ち、校舎裏にある焼却炉へ向かった。
教室を出て、らせん階段を降りる頃には数人の生徒たちとすれ違った。
どうやら、生徒たちが登校してきたみたいだ
。賑やかになりはじめた校舎を出て、静かな裏庭へ向かう。
焼却炉は、アーチ状の梁のついた外回廊を抜けた先だ。
焼却炉の重たい鉄の扉を開くと、燃え盛る炎が扉から飛び出してきた。
この炎は、一日中燃えている。恐らくは魔法学園の教員が熾したものなのだろう。
時々、どんくさい生徒がゴミ捨ての際にやけどをしているらしい。
注意深く焼却炉にごみを投げ入れると、あっという間に炎へ飲み込まれていった。
「よし、これで終了!」
ドロシーは鉄の扉を閉め、手を払った。
そろそろ、予鈴が鳴るころだ。
急いで教室へ戻ろう、とゴミ箱を持った――その矢先のことだ。
背後から妙な気配を感じ、振り向いた。
「うわっ!」
眼前を真っ赤な火の玉が横切った。
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