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「炎で私に対抗しようなんて、十年早いんだよ!」
男子生徒に向かって振り上げた銀の靴から激しい旋風が放たれる。
炎は一瞬にして吹き消され、男子生徒の体を舞い上げた。
地面に叩きつけられ、男子生徒の顔が苦痛に歪んだ。
「くそっ! 鮮血の悪魔め!」
「アクマで結構! なんと思われようが、その銀貨さえ手に入ればどうだっていいんだよ」
ドロシーは着地すると、倒れ込む男子生徒に近づいていく。
バキバキと指をならして薄ら笑うドロシーに、男子生徒の顔が青ざめていく。
陶器のような白い肌に澄んだ青色の目をした美しい容姿が、少女を一層恐ろしい悪魔に見せていた。
「やめろ! 銀貨ならやるから、これ以上はっ!」
「問答無用! 男なら最後まで戦いやがれ!」
ドロシーは拳を振りかぶった。
男子生徒が身を守ろうとうずくまる。
容赦ない拳が男子生徒を襲おうとした――その直前に、何者かがドロシーの前に立ちはだかる。
「なっ……!」
いつの間にか、拳が一回り大きな手のひらに握りこまれていた。
腕を辿り視線をあげると、目が眩むほどのプラチナブロンドが視界に飛び込んできた。
「……話には聞いていたが、予想以上のじゃじゃ馬のようだ」
「アンタは――」
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