2章・黒のオズ

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驚いてたたらを踏んだドロシーは、焼却炉の燃え盛る火炎に突っ込みそうになる。 とっさに焼却炉の横へ体をずらして地面に手を突き、受け身を取りながら倒れた。 瞬時に起きあがると、辺りに目を配る。 (なんなんだよ、一体!) 焼却炉を囲む木々の隙間に人影が見えた。 どうやら、複数人いるようだ。 「……てめぇら、何しやがる!」 「噂には聞いていたけれど、本当に抵抗しないようね」 女生徒が両手を前へ突きだし、意地悪そうに笑った。 魔法を放ったのはこの女生徒らしい。 その背後には、数人の男女がいる。 全員の顔に覚えがある。確か、銀貨集めの際に戦った生徒たちだ。 「なんだよ、逆恨みか?」 「逆恨み? いいえ、違うわ。私達は私達のものを返してもらいに来ただけよ」 「私達のもの? もしかして、銀貨のことか? だったら、持ってないぞ。あれは全部、ウィリアムに没収されたからな。返して欲しければ、ウィリアムに言ってくれ」 これ以上、面倒事に巻き込まれたくない。 ここで、喧嘩をすることもできないのだ。 もどかしい気持ちをぐっと抑えたことは、誰かに褒めて欲しいくらいだ。 怒りに拳を握りながらも踵を返したドロシーは、自分の成長に感動した。
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