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「……気持ちの悪いことを言うな、それから放せ!」
ドロシーはウィリアムの手を振り払おうとした――その時だ。
突如、浮遊感に襲われた。
巻き起こった風に体が舞い上げられたかと思うと、次の瞬間には、地面に背中を打ちつけていた。
衝撃に驚き、立ち上がる暇もなく視界に広がったのはウィリアムの端正な顔だ。
「……白のオズに盾を付くとは、確かに根性だけはありそうだ」
値踏みするような視線に、ドロシーは苛立ちを覚える。
「何するんだよ!」
ウィリアムの顔面に向かって、ドロシーは拳を突きだした。
軽く首を傾げて拳を避け、ウィリアムはドロシーの手首を掴む。
再びウィリアムが起こした風にドロシーは宙に投げ出される。
「嘗めるなよ!」
反転した体を空中で起こし、銀の靴を振り上げる。
靴底から巻き起こった疾風が、庭園の草木を揺らした。
ウィリアムを踏みつけるように、ドロシーは足を振り落とそうとした。
その時、輝くプラチナブロンドの下に隠れていた顔が嫌らしく笑った。
「……下着が丸見えだぞ。見せているのか?」
「なっ……!」
冷静な声が風の音をかき分けてきこえた。
それに動揺したドロシーは体勢を崩した。
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