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「しまった……」
スカートを押さえたとたんに風が消え、ドロシーの体が落下する。
咄嗟に身を守ろうと、ドロシーは衝撃に備えて頭を抱えた。
だが、その衝撃はいつまでもやってこなかった。
「大丈夫かい、お嬢さん」
逞しい腕にドロシーは抱き留められていた。
唖然と目を丸くしたドロシーを、ウィリアムは楽しそうに見つめる。
「さあ、足元に気を付けて。ちゃんと、一人で立てるかい?」
ウィリアムはドロシーを地面に下ろした。
「おや、スカートに汚れが……それに、襟も曲がっているね」
ドロシーのスカートの埃をウィリアムは払った。
今度は襟を直されそうになった時、ようやくドロシーは状況を飲み込んだ。
「触るな! これ以上馬鹿にされるくらいなら、銀貨は全部くれてやる!」
悔しさを噛み殺し、ドロシーは腰に下げた袋をウィリアムに突きつける。
袋の中には生徒たちから勝ち取った銀貨が入っていた。
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