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放課後の裏庭に拙く拍子をとる声がする。
「一、二、三……一、二、三――」
日が傾き始めた薄暗い裏庭で、ドロシーは一人でダンスの練習をしていた。
既に学生たちのほとんどはロッジに帰ってしまった。
裏庭に来る人間はほとんどいない。
ロッジで練習をするのは気恥ずかしく、放課後になるといつもここで練習していた。
(結構、形になってきた、かも?)
一人ではやはり、上達しているのか分かりづらい。
それでも、ウィリアムと練習するのは、できるだけ避けたい。
ロッジに帰れば、強制的にウィリアムと練習しなければならない。
そのたびに、ドロシーは自分が自分じゃなくなるような感覚に襲われていた。
ふわふわと頭が温かくなり、心が落ち着かなくなる。
それが嫌で、なるべく遅くにロッジに帰っているのだ。
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