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セイリュウに口づけられた翌日、ドロシーは一日中上の空だった。
どうやってロッジから登校したのか記憶がない。
何度か、ウィリアムが鬱陶しくまとわりついて何かを言っていたのは覚えている。
けれど、それに気のない返事を返すことしかできなかった。
放課後、裏庭に行く気にはなれず、まっすぐロッジへ帰った。
どうやら、七年生であるウィリアムとグレイルは帰ってきてないようだ。
それに安心し、部屋へ向かう。
髪飾りを頭に付け、鏡の前で自分の顔を見たドロシーは深いため息を吐いた。
(マジで、何考えてるんだ、あいつは)
目線は自然と唇に向いてしまう。
それが嫌で、ドロシーは鏡に背を向けた。
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