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3-8
ウィリアムが出て行った食堂には、セイリュウと従者たちが残っていた。
なんとなく気まずい空気の中、一人食事をする黒のオズを従者たちは窺う。
そんな、奇妙な沈黙を破ったのはラノフだった。
「罪悪感でも、持っちゃったんですか?」
何に、とはあえて言わずに尋ねると、セイリュウは口に運びかけたオムレツを落とした。
ウィリアムと同じで、いつも完璧な黒のオズの僅かな動揺にラノフは驚く。
「……別に、そういうわけではない。私はドロシーの悲しむ顔が見たくないだけだ」
「なるほどねぇ……。愛ですねぇ」
「そうだな」
冗談で言ったつもりだったのだが、まじめに返されてラノフは戸惑った。
(この感じ、誰かに似てる気が……)
ちらり、とグレイルを見るが、グレイルは視線の意味が分からず首を傾げている。
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