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エメラルドの道に、エメラルドの家。
薄暗い道を照らすのは、エメラルドの炎が灯った街灯。
街中をトト・ワイスの部下たちと歩きながら、ウィリアムは辺りを見回した。
(ここが、俺の追い求めていた場所――)
背後にいる男に刃を突きつけられていることに、周囲の人々は気づいていなのだろうか。
誰一人こちらに見向きもしない。
まるで人形のように全員が幸せそうな微笑を口元に携えている。
隣を歩くラノフや、後ろにいるグレイルとアンバーは、魔法で両手首を拘束されていた。
不自然に両手を背後で組んでいる姿を、不審な目で見る者はいない。
トト・ワイスの部下達も彼らと同じように、毒気を微塵も感じない善人の顔で微笑しているだけだ。
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