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エメラルドロッジの回廊に、複数の足音が響く。
白黒のオズの住まうロッジは回廊の灯りすらエメラルド色だった。
不思議な炎が揺らぎ、床にドロシー達の影を映す。
(どこもかしこも、無駄に豪華で落ち着かないな)
銀の靴をエメラルドの床に打ちつける度、ひやひやする。
そんな貧乏性な自分に嫌気がさしていると、前を歩いていた藁頭の男が言った。
「……さあ、ここがこれからお嬢が暮らす部屋ですよ」
「お嬢って言うな」
「じゃあ、奥様こちらですよ~」
ひょうひょうと言う藁男に、怒る気力も失せてくる。
ドロシーは藁男に促され、開いたドアから部屋へ入った。
「――なんじゃ、こりゃ」
目の前の光景にドロシーは立ちすくんだ。
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