エピローグ

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「この家を出て行っても、マザーは私の記憶の中にいる。だから、離れ離れになんてならない。マザーはずっと私と一緒にいる」 開いた手で胸に手をやると、強く打ちつける心音を感じた。 「だからさ、さようなら。元気でマザー仕込みのまずいパイを売り続けてよ。その味は、マザーがここにいた証拠だからさ」 目を開くと、ドロシーは店の外へ足を向けた。 背後からは、セイリュウ達が付いてくる。 「おい、勝手にこの家から出て行くのは許さんぞ、ドロシー! 貴様はお袋を殺した化け物なんだ。俺が一生、こき使ってやる!」 鉈を振り上げ、男はドロシーに迫った。 「化け物同士でも、やはり紳士な化け物でいたいものだな」 ウィリアムはそう言うと、指を鳴らした。 とたんに、男が叫び声をあげた。 「な、なんだこれは!」 男を見ると、両手に光る鋭い金属を掲げていた。 目を凝らすと、どうやら手首から先が包丁に変わってしまったようだ。 「それなら、仕事もしやすいだろう? よかったな。これで、君も化け物の仲間だ!」 「おめでとう!」と楽しそうに言ったウィリアムはドロシーの手を引き、店を飛び出した。
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