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学園にある三つのロッジは、三角形を描くように建っている。 その中心に、魔法学園の校舎はあった。 白と黒の制服を着た生徒たちが、各ロッジから学園に登校してくる。 すでに、生徒の姿はまばらにしかいない。 遅刻をしないよう足早に行く生徒や、のんびりとあくびをする生徒。 その中で、ドロシーは怒気を地面にぶつけるように歩いていた。 (何が花嫁修業だ! 何考えてるんだ、あの男は。銀貨狩りもできないし、当分はやることなくて、暇になるな) 校舎に入り、一限目の授業のある教室へ向かう。 石造りのらせん階段を上る途中、すれ違う生徒たちがドロシーの顔を見て短く悲鳴をあげた。 そんな生徒たちに睨みをきかせ、教室へ入った。 そのとたんに、室内が静まり返った。 先ほどまで聞こえていた賑やかな学生たちの声が急に消え、視線が一斉にドロシーへ集まる。
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