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休日の午後の事だった。
エメラルドロッジの食堂には、甘いスパイスと紅茶の芳香が立ち込めていた。
円卓を囲むのは、ロッジに住まうオズと花嫁、それから従者たちだ。
ウィリアムは温かな紅茶に口をつけ、ティーカップを受け皿に置く。
「それで……なぜ、君がここにいる」
「なぜ? ここは私のロッジでもあると思ったのだが? 違ったか?」
ウィリアムの向かいに座っているのはセイリュウだ。
不思議そうに首を傾げたセイリュウは、ちらと視線をあげた。
視線の先には、紅茶を注ぐグレイルがいる。
「ここはセイリュウ様とウィリアム様のロッジですので、セイリュウ様が正しいと思うのですが……。ウィリアム様、まさかその年齢で呆けたのですか? お忘れかもしれませんが、ここはお二人のロッジでございます」
グレイルは淡々と答えた。
「んなことは、分かっているのだよ!」
お茶菓子のクッキーを放り投げそうな勢いで、ウィリアムは卓上を叩いた。
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