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「なあ、24日って空いてねーか」
聞き取れるか聞き取れないようなボソボソした声で来生秋哉から問われた時、三嶋カズエの胸はトクンと小さくときめいた。
24日といえば、今月の24日はただの24日ではない。
12月なのだ。
12月24日といえば、クリスマスイブ。
そんな日に憎からず思っている異性から、
「空いてねーか」
なんて聞かれたら、カズでなくとも期待は膨らむ。
いったいどういう風の吹き回しなのか。
しかも今年のイブは祝日で、学校も休みだ。
一気に気分があがりかけて、そこでハッと我に返った。
相手は秋哉だ。
だから、
「ああ、テッペーとふたりじゃ、さすがにキツいってこと? せっかくのクリスマスだもんね」
世間はロマンチックなクリスマスイブ。
いくら秋哉でも、男友達とふたりきりで過ごすなんてさすがに痛いと思ったのかと、カズエは合点がいく。
しかし、
「テッペーなんか誘ってねーよ。あいつには聞かれたくねーんだ、もうちょい声を低くしろ」
慌てたように目配せしてくる秋哉に、
「えっ」
カズエは改めてドキリとした。
秋哉にとって唯一の親友と言っていいテッペーには内緒で、カズエだけを誘う。
しかもクリスマスイブの日に!
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