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自分はどうなってしまうのだろうと、心臓をバクバクいわせるカズエに、
「誰か入って来た」
「……え?」
「誰かが家の中に入ってきやがった」
秋哉が教える。
「へ?」
意味がわからずキョトンとするカズエに、秋哉は目だけで廊下の方を示した。
「シンニューシャだ」
秋哉の視線を一緒に追いながら、
「シンニューシャって、冬依くんとかが帰ってきたんじゃないの」
侵入者が頭の中で漢字にならず小声で聞くと、
「トーイが忍び足なんかするかよ」
秋哉は苛立たし気に否定する。
その顔は冗談を言っているものではない。
『まさか!?』
試しにいったん口をつぐみ様子をうかがってみれば、確かに、ドアが面した廊下からスルスルと足音がする。
ずいぶん耳をすませていないとわからない、靴下で歩く音だ。
「あんな歩き方すんの、家族じゃねぇよ」
「!」
侵入者だなんて、考えられるのは空き巣か泥棒しかない。
いや、洗面所に秋哉やカズエが潜んでいることがバレれば、居直り強盗になってしまうかもしれない。
カズエの喉はゴクリとなる。
「ど、どうすんの?」
震えるカズエを、秋哉はもう一度力強く抱き直し、
「このままやり過ごす。あいつがリビングの方に行ったら、隙みて玄関から逃げるぞ」
秋哉の提案に、カズエはコクリコクリと顎を動かす。
スマホはキッチンに置いたままだし、相手は武器を持っているかもしれない。
とにかく逃げるのが先決だ。
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