佳境に入ったパーティ

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いつも通りを装っているが、髪から覗く秋哉の耳が赤い。 声がひっくり返っている。 秋哉も、緊張しているのだ。 いや照れている? カズエがキスしたせいで? カズエは慌ててモップを手に取り、柄を握った。 握った手がじっとりと汗で湿っていたが、別に不快じゃない。 これから秋哉と一緒に立ち向かおうとする未来に期待する汗だ。 カズエがこれまで夢みてきたのは、ピンチのときに颯爽と現れてヒロインを助けてくれる王子さまだった。 だけどなぜだろう、秋哉と一緒にいると、それだけでは物足りなくなる。 守られているばかりじゃ我慢できなくて、一緒に並び立ちたいと思ってしまう。 そしてそれを許してくれる秋哉の信頼が、こんなにもうれしい。 一緒に困難に立ち向かえる喜びの方が、恐怖よりも大きい。 それから、 「オレたち負ける気がしねーよな。後ろは任せたぜカズ」 ニカッと笑う唇をこちらに向けて、元気に言ってくれる秋哉。 そんな風にいうが、敵の真正面に立って盾になってくれようとしているのが見え見えだ。 だからカズエは、 「うん、任せてよ」 秋哉の背中にそっと寄り添う。 いつだって安心だけをくれる秋哉の背中の、こんな近くにいられることを、とても幸せに感じた。
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