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というわけで、
「いいよ。空いてる」
カズエは素っ気なさを装って答えた。
視線をそらすのに横を向いたが、頬が熱い。
赤くなっているのではないかと心配になりながらも、そう長い間もったいぶってはいないはずだと、チラリと秋哉の顔をうかがう。
ずいぶん長く思考を巡らせたような気もするが、カズエには必要な時間だった。
すると秋哉は、どこか恐る恐るといった調子で、
「じゃあ悪ぃんだけど、ウチに来てくれねーか」
「アキの家に?」
今までお邪魔したことはないが、来生家のイケメン兄弟とはカズエも顔見知りである。
「ああ、家族パーティに呼んでくれるの?」
そういえば秋哉が巻き込まれたいろいろな事件の時にカズエも奔走した。
その時に一番上の超イケメンのお兄さんが、
「いつも秋哉が世話になってるね」
と言ってくれた。
もしかして、お礼のつもりで招待してくれたのだろうか。
しかし秋哉は、
「いや、その日は誰もいねーはずだ」
「へ?」
どういうことだろう。
つまりは秋哉の家でふたりきりになるってこと?
それは一体どういう意味で……。
「家から全員追い出したいから、カズ、お前を家に呼びたいんだ」
「……へ?」
さっぱり訳がわからない。
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