第一章 妖精と呼ばれし娘 一、愛を探す少女

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第一章 妖精と呼ばれし娘 一、愛を探す少女

 古い讃美歌が黴臭い空気に溶け込み、光の帯がうっすらと差し込む地下墓地の中、葬儀はしめやかに執り行われていた。喪服に身を包む参列者たちは、ある者は黙り、ある者はそそと泣き、それぞれに故人をしのんでいた。その中心には、たった一人、年端も行かぬ少女がいた。国の貴人が眠る地下のドームには、彼女の幼い泣き声がこだましていた。  葬送が終わると、少女は定位置である宮殿の玉座の上で、茫然と涙を流れるままにしていた。桃のような頬の上を、透明な真珠がいくつもいくつも転がり落ちてゆく。玉座の間には暗欝たる空気が流れ、城の従事者たちも俯くばかりだった。 「ううぅ……じいや……じいや……」     
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