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第2章 世界王者
1セット目の第3ゲームが終了し、少し落ち着きを取り戻した雄一朗はベンチの椅子に腰を落とし、大会主催者から提供された大き目のタオルを両膝の上に置いて、次のゲームの組み立てをジーッと考えていた。
頭の中ではスクリーンの映像を見るように色々なショットのアイデアが次々と浮かぶのだが、今日の決勝の相手は昨年この大会を制したディフェンディングチャンピオン、現在世界ランキングNo.1の座を2年間もキープしているアメリカの選手、アルベルト・コスナーだ。
並大抵の戦略では決して勝てない最大の強敵だった。
コスナーは左利きにしてバックバンドは両手で高い打点からの鋭いフラットドライブを得意として打ち、チャンスでは的確に相手をコートサイドに追い詰め、これも得意であるネットプレーを駆使して容赦なく攻め立てる攻撃型オールラウンダーだ。
状況によってはサーブ&ボレーで早い段階からネットにも詰め、一瞬たりとも気の抜いたショットが打てない最大級の手強い相手だった。
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