4 神童

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モトイのオカンは宗右衛門町のスナックのママ。父親は知らんらしい。ミナミの繁華街・宗右衛門町で育ったモトイのお蔭で僕達は高校入るか入らんかくらいから宗右衛門町の姉さん方に“気持ちのエエこと”を教わってきたからその方面の偏差値も高い。 「京大生の男を未来のダンナにkeepってトコか」 「ヨシタカはキッツいこというなあ、この間も経済学のM先生にイラン(言わなくていい)こと言うたんやろ?」 「そうそう!モトイは文学やからおらんかったけど・・・」 この好景気についてテレビで語り、著書も多く、通産省の会議なんかにも呼ばれてるM先生が飲み会の戯言に「俺は権威なんか嫌いだ!」と息巻いたのに 対して空かさず「そしたら名刺に肩書き並べるはヤメた方がエエんとちゃいますか」と言うてM先生に恥をかかせた。 僕らは高校まで学校は違うけど、あの明治屋におった塾長のトコで一緒やった。ヨシタカはこんなふうに矛盾があれば大人にでも正面きって文句言う奴やったし、モトイはエロいことしか考えてない奴やった。僕は・・・ 「お前は”藻“みたいな奴やな」 コイツらにも母親にもよう言われる。大学選ぶ時もなにがなんでも東大や!とかもないからイケる通える範囲で京大。学部も就職のときに無難かなで経済学部。 女もヤラシてくれたらヤるでエエって感じ。正直、“小さい手の彼女”は可愛いと思てることは否定せんけど。 「大学は続くかどうか判らんわ」 と、ヨシタカが呟いた。 「やっぱお前は言い出しよった!」  モトイが言うた後、 「正直、俺もや」 つい口から出てもたんは自分自身意外やった。
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