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4)メリークリスマス
今月に入ってから何度となく通った神社へ足を踏み入れる。
賽銭箱へ小銭を数枚入れ、太い縄を揺らし鈴を鳴らす。神様への挨拶が済むと、同じ願いを心で繰り返した。
いつまでもこんなことを繰り返してる場合ではない。もし願いが叶っていたら、時間は刻一刻と無くなっていくのだから。
最後の勇気が出ずに何度も断念したが、今日こそは。
ふと、神社の鳥居をくぐり近付いて来る人影に気付く。見知ったその顔は以前にもここで鉢合わせたものだった。
「伊藤君」
「・・・もしかしてなんだけど」
そう言って手に提げた薬局のビニール袋から何かを取り出す。
「これ必要としてるんじゃないか?」
「・・・!なんで・・・」
それは何度も買おうとして勇気を持てなかった細長い箱だった。
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