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小さな約束<遠い記憶の中で>
小さな約束<遠い記憶の中で>
太陽の日差しが眩しく時より吹く秋の風が心地よく、冬はまだまだ先の様な気がしていた。
陸(りく)は家の中に居ることがもったいないと思い、ふと近くのお寺に足を運んでみたくなった。
そのお寺は丘の中程に位置している為眺めが良く、そこから見下ろすと町全体を見る事が出来る。
しかし、高台に位置している事もあってそこには普段人が居ることが少なかった。
この日も当然人影はなく静かでどことなくさびしい感じがした。
境内を歩いても聞こえるのは時折吹く風の音と自分の足音だけである。
少し境内を歩いているとふと、陸の足が止まった。
陸はいまほんのかすかであるが確かに、ほのかでかつ心地よい香りを感じた。
いままで幾度もこの寺に来ているがこんな香りを感じた事はなかった。
いや、それどころかふつうの寺では感じるであろう線香の香りすら感じた事はなかったのだ。
陸はその香りがどこから来ているのか無性に気になった。しかし、さっき感じたはずの香りは全くなく土の匂いがわずかに感じるくらいである。
陸が再び歩き始めようとした時、心地よい秋の風とともにかすかではあるがさっき感じた
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