賽の目の龍(ダイスドラゴン)の物語

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賽の目の龍(ダイスドラゴン)の物語

 そのかみ、樹の上の存在であった“人”は、至高四神と二十の白き神と黒き神、そして多くの“人倫の神々”に見守られ、徐々に地上で繁栄していった。  人類の長兄である龍の一族は、“人”と地上の行く末を掌どる“白い力”と“黒い力”の調和を任された。  白く耀く龍の一族は“白い力”を司どる僧侶として、黒く耀く龍の一族は“黒い力”を司どる神官として、二つの一族は世界を動かす力の調和に尽力した。  “白い力”と“黒い力”はどちらが欠けても世界は成り立たない。  白く耀く龍の一族と、黒く耀く龍の一族もまた、どちらが欠けても調和は成り立たない。二つの一族は、互いの行き来も交流も、司どる力の斥力に関わらず深く行なわれていた。    ある時、銀の門が一巡し、天頂に金色の星が現われた暁、白く耀く龍の一族に一人の女児が生を享け、刻を同じくして黒く耀く龍の一族に一人の男児が生を享けた。    同じ特別な星廻りの表と裏に生まれた二人は、嘗ての誰よりも“白い力”と“黒い力”を強く享けていた。  “白い力”と“黒い力”の管理者として、二人は幼くして教えを受け、長じて神々と世界の秘奥に通じた。     
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