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それでもこの部屋に招くのは初めて。大抵はホテルか、谷川の部屋だ。
凄くドキドキする。心臓が口から出そう。今脅かされたら心臓止まるかもしれない。そのくらい落ち着かない。
そんな時、インターホンが鳴って思わず「ふぎゃ!」という声が出た。
『先輩、きたよ』
「今開ける」
オートロックを解除して、次には室内のベルが鳴る。出迎えると濃紺のコートにジーパン姿の谷川が、手に袋を提げて立っていた。
「お邪魔します。後これ、お土産」
「あぁ、うん」
中を確認するとビールと小さめのケーキの箱。甘い物が好きな俺の為に買ってきてくれたんだろう。
谷川は珍しそうに部屋を眺めている。
単身者用の広めのワンルーム。入ってすぐ右手は狭いがキッチンがあり、左側にはトイレと風呂がある。リビングのドアは開けっぱなしで、正面がそのままコタツだ。
「やっぱ想像通り、綺麗にしてるんだ」
「まぁ、一応は」
そんなにじっくり見られるとちょっと恥ずかしい。
部屋に入ってもあれこれ見回している。
「物はあまりないんだね。テレビに、ベッドだけなんだ」
「服とかはクローゼットに収まる程度だし、パソコンはノート型だから」
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