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順番待ちの時間が、好きな人間はそうそういないと思う。
某ネズミの王国などは、待っている時間も人を楽しませる仕掛けがあるからその限りではないのかもしれないが――多くの遊園地の待ち時間を、好ましいと思う者はそうそういないはずである。誰だって早くアトラクションに乗りたいはずだし、お腹がすいているのにカップ麺を待たされる三分はやけに長く感じたりするものだ。
かく言う僕も、待ちの時間が苦手な一人であったりする。
今の僕を楽しませてくれるものは音楽だけ。それも、これだけ長い時間過ぎれば飽きてきてしまうというものだ。なんせ此処では同じ曲しか流してくれない。客に対して、もう少しサービスしてほしいものだと思う。
――はぁ。携帯かゲーム機ほしい…。いやもうこの際本でもいいや。難しい経済学の本とかでもなんでもいいよ!僕に暇潰しの手段を!プリーズ!
なお、それらの要望は既にスタッフに伝え済みなのだが。
生憎当方ではそのようなものはご用意しておりません、と一蹴されて終わってしまった。なんだよケチ、と僕はむくれる。そう思うならさっさと客を捌いてくれればいいのに。僕の前の人の数は、さっきから本当に少しずつしか減っていく気配がない。どうにも、前の客でかなり手間取っているらしい。
――あーあ。こんなに待たされるなんて予想外だなあ。僕結構VIPだよね?VIP待遇されてもいいよね?優先的に順番回してくれると思ってたんだけどさぁ…。
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